「カラーベスト」と「コロニアル」何が違うの?

どうも、こんにちはinex・housingの鈴木です

今回は、屋根がカラーベスト・コロニアルで葺かれている
方々から最近多いお問合せについてのお話です

一昨年の台風直後からの3~4ヶ月間は屋根からの漏水や飛散が原因
による修繕工事の依頼が殆どでしたが、それが一段落した頃から
早急な修理工事依頼から“ウチの屋根大丈夫ですかね”という
どちらか、と云うとメンテナンスに近い依頼に変わってきました
「どうされたんですか?」とお聞きすると
そのほとんどが下記の4点です
①近所の方から「お宅の屋根材ヅレてる・剥がれてるよ」と言われた
②突然訪問された知らない業者風の人から「お宅の屋根大変ですよ」言われた
③敷地内に小さな屋根材の破片が落ちていた
④前から気にはしていたがどの業者に頼めば良いか決めかねていた

殆どのお宅は1階の屋根は見えたとしても2階の屋根は見えません
見えないからこそ皆さん不安だけがつのりますよね
そこで今回はカラーベストコロニアルで葺かれているお宅へ
現場調査等で私がお伺いした際にお住いの方へ説明する話を書かせて貰います

先ず最初に
「“コロニアル”と“カラーベスト”って違う物?」と良く聞かれます
図面等に書かれている名称は“平型屋根用スレート”と書かれていますが、
つい最近までは“着色化粧石綿スレート板”(他にも言い方あります)
と書かれていました
「んッ石綿?」と思われた方
2000年前後に石綿(アスベスト)が廃止されてから随分長い間
名称だけは残っていたんですよ(これも厄介な問題でした)
以前はこの平型屋根用スレートと云う屋根材を数社で販売していましたが
現在販売しているのは1社(ケイミュー“KMEW”)だけとなりました。
その会社(KMEW)が販売している平型屋根用スレートの中に『カラーベスト』
と云う屋根材のシリーズがあります
その中の1つに『コロニアル』という名前の屋根材があります
『カラーベスト』はシリーズ名で『コロニアル』は商品名という事です
この商品、なかなかのロングセラーで1960年に販売開始された商品で
現在に至るまで“商品名”や“形状”、統合により販売メーカー名までも変わり
色々ありましたが60年間生き残っているので非常に優れた商品という事に
なりますね
(この“平型屋根用スレート”に関しては別に、又書こうと思います)
結果、厳密にいうと現時点で『カラーベスト』という名称の商品は無いと
いう事になります(シリーズ名です)
まあ、カラーベストは俗称又は総称とお考えください
因みにカラーベストシリーズですが2021年4月現在で9品名の商品が
販売されています
【KMEWカラーベストシリーズ】
・レイシャスグラッサ
・グラッサ600
・グラッサ600シャッフル
・セイバリーグランデグラッサ
・コロニアル遮熱グラッサ
・セイバリーグラッサ
・コロニアルグラッサ
・コロニアルグラッサシャッフル
・コロニアルクアッド
※厚さ、表面塗装、色が各々違います

販売メーカーKMEW「カラーベスト60周年歴史と未来」という動画がありました
注:ほぼ“広告”です(^^;) 軽ーく見てあげてください

 

次に、“コロニアルがどの様にして施工されているか”を絵を見ながら簡単に説明します

上の図は屋根を上(空)から見た図になります
殆どの屋根材は下(水下側、軒樋が付いている方です)から葺いていきます
上図だと葺き始めが1段目となります
それから順々に2段目→3段目と葺いていきます
1段目を固定した釘を図だと青丸で表記して
2段目の固定釘は赤丸3段目は黄赤丸です
1段目(青丸)の上には2段目の屋根材が被さり
順番に2段目(赤丸)の上には3段目の屋根材が被さり
3段目の上には4段目となり固定した釘は隠れます
そして各段の約上半分には次の段(上の段)の屋根材が
重なって雨が入らない様になっています
逆を言えば上に重なっている屋根材の下半分に“ヒビ”が
あったり“欠け”が有っても
『漏水の直接的な原因にはならない』という事です

※絵だとイメージ湧かないので施工動画あるので見てください
(20倍の早回しです。動画で葺いているのはコロニアルではありませんが施工手順は同じです)

 

上記『漏水の直接的な原因にはならない』を踏まえて下の写真を見てください

この写真3枚の破損に関して共通しているのは、重なっている“上の屋根材の下側部分の破損”となりますから
『漏水の直接的な原因にはならない』と云う事です。
依って、この破損部分だけで見解を求められたら『応急処置対応で良いと思います』と云う事になります
では、この場所だけを直せばいいのかと思いますが残念ながらそう簡単には済まされない状態の屋根が殆どです
建築後ある程度(30年位)経っている屋根で3枚の写真の様な症状が出ている屋根の場合、他の場所も
何かしら危険サインが出ています
ここのお宅の場合は屋根材の塗装面が殆ど無くなっていて防水性能が機能しておらず屋根材自体がもろくなり
始めていました

屋根材を形成している“基材”に水分が侵入し始めると加速度的に強度が低下してきて再塗装をしても通常求め
られる年数はもたなくなってしまいます
このお宅の屋根は3ヶ所の破損以外にもっと重大な劣化がありました
それは約30年間1回もメンテナンスをしていなかったので見た目以上に屋根全体の劣化が進行していました
海から近い(海岸線から約1キロ)という立地条件もダブルパンチで効いている様でした(塩害です)
屋根の上を歩くのも相当慎重に歩なかないとひび割れを起こしてしまう状態でした
棟板金を固定している釘も抜けていたり抜けかかっているのが多数ありました
既に塗装でのメンテナンス時期は過ぎてしまい“葺き替え”若しくは“重ね貼り(カバー)”がベストの改修と
判断する状態になっていました

一般の方が梯子を架けて屋根に上がるのは非常に危険ですからお薦めはいたしませんが
2階の窓から1階の屋根を見てみたり、少し離れた所から2階の屋根を見てみたり、長い期間屋根のメンテナンス
をしていなかった方は今回の予備知識を参考にしてご自宅の屋根点検をご自身でおこなってみて下さい
くれぐれも“通りすがりの悪質訪問工事営業”に騙されない様にしてください

それではinex・housing 鈴木でした